新潟の商業施設リサーチ②


おはようございます。造形大学の増田です。
長岡市では連日暑い日が続いています。ふと、上海はどんな天気なんだろうと思い、調べてみたら気温はほとんどこっちと変わらないようでした。ただ、湿度が80%を超す日もあるようで、夏バテしないようにどんな対策をしていこうかと、考えを膨らませている今日この頃です。

私が前回訪れた際には、中国の人々が朝の涼しい時間帯を利用し、太極拳などで体を動かしてる光景が印象的でした。そんな光景を見ながら、この中に紛れて体を動かしたいなと思ったので、今回は一応ランニングシューズとスポーツウェア持っていこうと考えています!
これが夏バテ予防にもつながれば一石二鳥ですが、果たして早起きできるやら...



さて、前回のリサーチに続いて、引き続きイオンモールの空間について感じたこと、イオンで行われているイベントについての調査報告を進めていきたいと思います。

まずイオンモールの外観写真です。

前回の調査内容で記載していた駐車場にある車専用の大きなスロープが左奥に見えます。近くに寄るとより迫力が増します。
雪国、新潟だけではないのかもしれませんが建物から大きくせり出た風除室も特徴的です。

イオンの駐車場はとても広く、よほど混雑しない限り駐車がスムーズに行えるのですが、改めて駐車場を回ってみると、全ての駐車スペースが効率よく活用されているとは感じられませんでした。一応、従業員の駐車場スペースなどもあるのですが、この撮影を行った場所も施設から離れたブロックとなっており、おそらく好んで駐車する方はいないでしょう。

こういった駐車場の空きスペース問題は巨大な郊外商業施設に見られる一つの問題点だと思います。

これからの少子高齢化に伴って、車を利用する方も現在よりは減少すると考えられますし、そうなった場合に、ただただ広い駐車場が閑散としてしまっては、商業施設としては良い印象を与えることはできないはずです。
ましてや、自然環境やエコへの関心が高まっている現代において、広すぎる駐車場スペースの開拓はあまり好ましくないとも思いました。
私は車で満杯になった駐車場内をウロウロと回りながら駐車スペースを探すより、一旦遠くに離れてガラガラの駐車スペースにサッと停める方なので、狭い駐車場よりは使い勝手が良いと思うのですが、もう少しランドスケープ的にも計画された部分があっても良いかもしれません。(駐車場全体の航空写真に関しては前回の記事に掲載されています。)


次に内部空間の構成についてです。

名称の通り、イオンモールは典型的なショッピングモール型で、多くの商業テナントから成り立っています。郊外の敷地の広さを最大限に活用した3層の吹き抜け空間は、どのフロアを歩いていても上下で買い物を楽しむ人々が視界に入り、買い物客の活気を常に感じ取ることができます。施設全体が曲線を伴って構成されているので、直線的に整列されたテナントより、それぞれが際立って見えるように感じました。それに関連してなのか、上のフロアの左右の通路を接続する渡り廊下のジョイント部分も角が取られたり、丸みを持たせた工夫が建物各所に見られます。

広い店内を端から端まで移動するのにも時間がかかるため、1階に点々と配されているソファで休んでいるの方のほとんどが年配の方で、そういった方にとってはこういったモールを回遊する形で買い物をするのは大変そうに見えました。
一方、モール側から離れたイオン側では従来のデパート方式で空間が形成されているので、人通りは比較的落ち着いています。売っている商品も高額な物やブランド性の高い物ではないため、中高年の方々は主にここで買い物を楽しんでいるようでした。

これは純粋な空間体験とはまた違った視点となるかもしれませんが、私がイオンを利用してきた上で、気になったことが2つあります。


1つは、営業時間によって変化する利用客の振れ幅が大きいことです。

郊外にあるイオン新潟南店では、専門店街の閉店時間が22時のため、夕方を過ぎると徐々に買い物客も落ち着いていきます。おそらく都市部にある商業施設以上にこの変化は大きいでしょう。そのことに関してはやはり前回で述べたような新潟の車に依存した特質が影響しているのではないでしょうか。夜間に行っても照明や内部空間の構成は、買い物客で賑わっている昼間と変わらないため、誰もいないゲームコーナーのネオンが鮮やかに光っているのを見ると、コスト的にも環境的な観点からもどうなのかなと思いました。


もう1つは、多数のテナントから成立しているモールですが、買い物客が実際に利用するテナントは利用するにつれていくつかの店舗に限定されていくことです。

これは私の体験なのですが、新潟南店がオープンした当初は、いくつかの店舗を見て回り、買い物を楽しんでいたのですが、今ではイオンに行ってもほとんど決まったテナントをいくつか回って買い物を終えてしまいます。
つまり、訪れる回数が増え、全体のテナントを把握すると買い物がパターン化されてくるのです。
こういったモール型商業施設での買い物のパターン化は私のみならず、何度もモールを訪れた人には少なからず表れる傾向だと思います。そのパターン化された買い物で利用するのも、需要性の高い大手ブランドのユニクロ無印良品になるので、他のテナントにとっては大手が参入してくることは、おそらく大きな痛手です。モール全体の商業的なバランスを保つことが今後の課題となるかもしれません。


最後にイベント面についてです。ちょうど今回の調査で撮影許可を頂いたときに今月のイベントが掲載されていたので撮影してきました。

イオンでは毎月1週間に2回ほどの頻度でワークショップやアーティストのライブ、お笑い芸人のパフォーマンス等が行われます。
それらのライブやパフォーマンスも、主に新潟を中心として活動する方にスポットライトを当てているので、地域に根ざした活動として機能しているようです。また、観覧するだけではなく参加型の催し物があることは、買い物に飽きやすい子どもたちに対する配慮として一役買っていると思われます。

地方に済んでいる私は、そう近くない距離を運転してくるので、よほどの興味が無い限り「買い物のついで」として催し物を捉えています。規模もそんなに大きいものが開かれることは滅多にないので、気軽に参加でき、買い物とイベントが補完関係にあるという現在のスタンスをこれからも続けてほしいです。


調査は以上になります。
主観的な意見もありましたが、イオンモール新潟南店は今現在、日本海側で最も大きいイオンでもあり、私を含め新潟県民にとってはかけがえのない大型商業施設の1つです。
最初に述べた通り、開店当初から関わりのある店舗なので、今回の調査は馴染みのある大型商業施設を客観的に考える良い機会になりました。
他のサマプロ参加者皆さんの調査を見ても、地域ごとの差異や郊外と都市部の違いなど、今まで商業的な観点から建築を捉える機会が少なかったので、新しい発見があって興味深いです。

今回のサマプロ2012ではどんな経験ができ、9月に日本に帰国した時には、今回調査したイオンモール新潟南店をどのような視点で捉えることができるのか...今から楽しみになってきました!